顧客エンゲージメントとは?重視される理由や高める方法を紹介
現代は、市場にモノやサービスがあふれ、モノやサービス自体での差別化が難しくなっている時代です。 安定的に収益を増やしていくために、企業において顧客エンゲージメントをいかに高めるかが重視されるようになっています。 今回は、顧客エンゲージメントの概要や重視されている理由のほか、顧客エンゲージメントを高めるメリットを解説します。実際に顧客エンゲージメントを高める方法についてもご紹介しますので、参考にしてみてください。
顧客エンゲージメントは、企業と顧客の信頼や親密さを表すマーケティング指標
顧客エンゲージメントとは、企業と顧客の信頼や親密さを表すマーケティング指標です。 「顧客エンゲージメントが高い」とは、顧客が企業に対し信頼や親密さを感じており、「商品やサービスを継続して利用してくれる」「他社製品より価格が高くても購入してくれる」「自発的に他者への紹介を行ってくれる」など、企業に対する顧客のポジティブな行動が多い状態であることを表しています。
顧客ロイヤルティとの違い
顧客ロイヤルティは顧客が商品やサービスに対して抱く愛着や信頼といった感情を数値化したものですが、顧客エンゲージメントは顧客の実際の行動に注目した指標といった違いがあります。 例えば、「この商品を友人にすすめる可能性」を10段階評価で表してもらった結果が「10」であっても、実際に購入や紹介といった行動が見られない場合には、「顧客ロイヤルティは高いが、顧客エンゲージメントは低い」となります。
顧客満足度との違い
顧客満足度は顧客が商品やサービスを利用した満足度合いを数値化したもので、顧客の実際の行動の指標である顧客エンゲージメントとは異なります。 顧客満足度の高さは顧客エンゲージメントを高める要因のひとつにはなりますが、「満足したけれど、ほかの商品も試してみよう」という行動をとる場合もあるため、顧客満足度の高さが安定した収益につながるとは限りません。
顧客エンゲージメントが重視される理由
近年、マーケティングにおいて顧客エンゲージメントが重視されているのは、市場環境や顧客の購入プロセスが変化する中で、従来型の「良い商品を安く提供する」という方針だけでは、安定的に収益を増やしていくことが難しくなっているからです。具体的には、下記のような理由が挙げられます。
製品やサービスのコモディティ化
製品やサービスのコモディティ化は、顧客エンゲージメントが重視される理由のひとつです。 コモディティ化とは、かつては高付加価値を持っていた商品やサービスが独自性を失って、一般的な商品・サービスになることです。以前は良い商品を安く提供すれば、それだけで他社との差別化ができましたが、現在は市場競争が激化し似たような商品やサービスが市場にあふれ、品質と価格のみでは他社との差別化が難しくなっています。 価格競争に巻き込まれずに安定して収益を上げていくためには、「◯◯といえばこの商品だ」「この商品なら安心だ」といった、品質と価格以外の視点からもリピート購入する顧客を増やしていくことが重要です。このような購買行動につなげられるよう、商品やブランドに顧客が抱く信頼感や親密度を高めていくことが求められています。
顧客の購買プロセスの変化
顧客エンゲージメントが重視される理由には、顧客の購買プロセスの変化も挙げられます。 以前は、顧客は企業が発信した情報やイメージを元に、商品・サービスの購入を決めていました。しかし、スマートフォンの普及に伴い、購入者自身が商品・サービスの使用感や感想を手軽に発信できるようになり、今やそうした口コミは、顧客の購買行動に大きな影響を及ぼすようになっています。 顧客エンゲージメントが高いファンが多ければ、SNSなどで意欲的にポジティブな情報を発信してくれるので、その先にいる多くの新規顧客の獲得が見込めるでしょう。
顧客の選択肢の増加
インターネットやスマートフォンの普及で誰もが情報を簡単に手に入れられるようになり、商品・サービスの選択肢が大幅に増えたことも、顧客エンゲージメントが重視されるようになった理由です。膨大な情報の中から自社の商品・サービスを選んでもらうには、「この企業・ブランドだから買う」という行動につながるような、企業への信頼や親密さを持ってもらう必要があります。
顧客エンゲージメントを高めるメリット
顧客エンゲージメントを高めると、企業にとってさまざまなメリットがあります。主なものに、以下が挙げられます。
リピート率が向上し、収益力が安定する
企業や商品・サービスへの信頼にもとづいて、顧客が商品・サービス継続的に利用してくれるので、企業の収益力が安定することがメリットに挙げられます。継続的に利用することで、さらに企業や商品・サービスへの信頼や親密性が深まり、さらなる顧客エンゲージメントの向上につながる好循環も期待できるでしょう。 サブスクリプションモデルの事業においては、顧客エンゲージメントの高い顧客が増えることで、解約の減少にもつながります。
既存顧客の口コミにより、新規顧客が増加する
顧客エンゲージメントの高い顧客は、自発的に商品・サービスについてポジティブな口コミを発信してくれるので、新規顧客の増加につながる点もメリットのひとつです。現代は、SNSやECサイトなどでの口コミが、購買行動に大きな影響を及ぼしています。好意的な口コミが企業広告よりも大きなプロモーション効果を発揮する場合もあり、多くの新規顧客獲得につながる可能性があります。
顧客と企業による「価値共創」ができる
顧客エンゲージメントを高めることで、顧客と企業とが価値を育てていけることもメリットといえます。 顧客エンゲージメントの高い顧客は、企業が発信する情報に敏感で、アンケートなどへの回答にも協力的な場合が多いでしょう。また、不満があるときにも黙って他社製品に乗り換えるのではなく、不満を意見として企業にフィードバックしてくれる傾向にあります。 顧客からのフィードバックを取り入れることで、企業は商品・サービスの改良やブランド価値の向上に役立てることができます。
顧客エンゲージメントを高める方法
では、顧客エンゲージメントを高めるためには、どのようなことをすればいいのでしょうか。具体的な方法を3つのステップに分けてご紹介します。
Step1. 顧客エンゲージメントのゴールを設定する
まずは、長期的な視点で、「顧客とどういう関係を構築したいのか」という顧客エンゲージメントのゴールを設定します。顧客にどのような顧客体験を提供したいのかを明確にして、顧客エンゲージメントが向上した結果として得られるNet Promoter Score:NPS(顧客ロイヤルティを測る指標)やLife Time Value:LTV(顧客生涯価値を測る指標)の目標値も設定すると良いでしょう。
Step2. 現状を把握して、課題を設定する
続いて、現状を把握するために顧客データを収集し、分析します。収集するデータは、顧客の年齢や性別、居住地といった属性情報と、来店回数・来店間隔・購買回数・継続期間といった行動履歴に加え、SNS上での投稿、アンケートの回答といったものまでを含みます。企業内で顧客情報が一元管理されておらず、それぞれの部署ごとに分けて保管されている場合には、CRMツールなどを活用して、顧客に関する情報を統合するところから始める必要があるでしょう。
情報が集まったら分析を行い、内容にもとづいてカスタマージャーニーマップを作成します。カスタマージャーニーマップとは、顧客が製品・サービスを知り、関心を持ち、購入・利用意欲を持つようになり、実際に購入・利用するまでのプロセスを可視化したものです。カスタマージャーニーマップを作成することで、理想と現実のズレがはっきりし、課題や改善ポイントが明確になります。その中から、優先的に対策すべきものを選んで、課題として設定してください。
Step3. KPIを設定し、PDCAを回して最適な施策実行につなげる
Step2で設定した課題に対し解決策を考え、その中から最適な施策を選んで実行します。施策を選択する際は、実現性はもちろんですが、効果の大きさややり方の検討も必要です。 また、解決策が効果を上げているのかどうかを測定する基準として、定量的かつ測定可能なKPIを設定しておくことも重要です。
課題解決に最適と思われる施策を実行し、KPIによってその効果をチェックするPDCAサイクルを回していきます。そうすることで、自社に適した解決策がより明確になり、顧客エンゲージメントの向上につなげられるでしょう。
顧客エンゲージメント向上にツールをうまく活用しよう
顧客エンゲージメントを高めるステップを実行するポイントは、顧客の情報をどう集めて分析し、最も適した施策につなげるかです。例えば健康食品メーカーであれば、食生活や健康意識、将来の健康への不安の程度など、顧客の健康に関するより詳しい情報を得られれば、より詳細な分析が可能になり、より細かい顧客セグメントごとにそれぞれに応じた施策が実行しやすくなります。
そのような詳細な顧客情報の収集、分析、施策の実行をスムーズに行うために、「dacadoo DHEP」(デジタル・ヘルス・エンゲージメント・プラットフォーム)の活用がおすすめです。
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